面白い楽しいロシアW杯…決勝トーナメントで期待したいものは

ロシア大会、盛り上がってますね。面白いですね。ワールドカップは86年メキシコ大会から見てますけど、今回なぜ面白いのか独断で考えてみます。

【写真】決勝トーナメントの組み合わせ

 (1)つかみが良かった。

 開幕戦で地元ロシアが大勝。その翌日にポルトガル―スペイン戦で3―3の死闘。C・ロナウドハットトリック。後半43分、3点目の直接FKには鳥肌が立ちました。「もうこれが決勝戦でいいよ」と思いました。

 (2)VARの導入

 ビデオ・アシスタント・レフェリーが良くも悪くも話題に。競技のあり方を変える影響の大きい変更があると、見所が増えますね。

 新ルール導入といえば、94年米国大会でのオフサイドの解釈が変更されたことが思い出されます。

 それまではオフサイドポジションに1人でもいればオフサイドだったところ「プレーにかかわってない」と判断されれば、その対象でなくなるという現行ルールに切り替わった大会です。準々決勝のブラジル―オランダ戦では、オフサイドポジションにいたFWロマリオがプレーするそぶりを見せずに後方へ戻り、その頭上を超えるうロングパスを受けたベベトがゴールしたのが、その象徴でした(この後ゆりかごダンス)。このシーン以外にも新ルールだとどうだ、とか気にしていたことで、より興味深く見ていた記憶があります。

 また、VARの影響は、1次リーグで0―0がフランス―デンマークの1試合だけに終わったことにも貢献。開幕からの連続試合得点新記録がテクノロジーでアシストされたことに「なんだかなぁ」と思いますが、観客や視聴者のためには良かったでしょう。

 (3)大会を象徴するシーンは。

 各大会には象徴するシーンがあるものです。86年メキシコはマラドーナ(アルゼンチン)の5人抜きか神の手ゴール、94年米国は決勝でPKを外したR・バッジオ(イタリア)と、それを慰めるGKタファレル(ブラジル)。10年南アはイニエスタ(スペイン)の決勝でのシャツまくりメッセージ。この辺が特に印象深いです。残念だったのは06年ドイツ大会。ジダン(フランス)の頭突き退場シーンですが、ハイライトが退場シーンなのは悲しいというかもったいないというか…。1次リーグでも好ゴールが多数生まれましたが、やはり4強やファイナリストによるスーパーゴールやスーパープレー。期待してます。

 (4)優勝チームの“説得力”

 「筋書きのないドラマ」という言葉もありますが、世界中のファンが納得できるチームが優勝するのが“大団円”の条件だと思います。具体的にいえば過去の優勝国か、近年の欧州選手権優勝国、でしょうか。W杯優勝というタイトルに耐えうる“格”が必要と言い換えることができるかもしれません。近年では98年にフランスが、10年にスペインが初優勝してますが、ともに豪華メンバーで直前の欧州選手権でベスト4だったり優勝してたりするので“説得力”はありました。

 日本のベスト8、ベスト4、決勝進出…もちろん期待です。戦略的敗戦を選択したポーランド戦はともかく、コロンビア戦、セネガル戦ではクリーンで巧みなプレーで世界のメディアから高評価だったのは、自分のことのようにうれしいものです。第2戦までのサッカーで勝ち上がっていけば、再び称賛を受けるはず。その課程で“説得力”を身に着けることができれば、日本サッカーはさらに一つ上のステージに行けると思います。ブラジルなど列強国が“本番”とターゲットにしている決勝トーナメントに参加できる。この状況をウキウキしながら過ごしたいものです。(元W杯担当・西村國継)

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